AI時代の著作権と画像保護|EXIF情報がクリエイターに必要な理由とは?【2025年最新版】

画像を“見る・作る・使う”ことが、AIの進化でますますカジュアルになったいま。
誰でも数秒で「それっぽい」画像が作れてしまう時代に、「自分の作品をどう守るか」を真剣に考える必要が出てきました。
そこで改めて注目されているのが、画像に埋め込まれたEXIF(イグジフ)情報です。
この記事では、画像のメタデータ=EXIF情報が著作権・画像保護・AI対策の観点からどんな役割を果たすのか、そしてクリエイターや企業が取るべき対策について、最新状況をもとにわかりやすくお届けします。
▼ まず「EXIF情報」について詳しく知りたい方はこちら

画像における「著作権」の基本と変化
画像は「撮った瞬間」に著作権が発生する
基本的に、写真・イラスト・グラフィックなどの画像作品は、創作した時点で著作権が自動的に発生します。
登録や申請をしなくても保護されるのが、日本を含む多くの国のルールです。
ただし、問題はここから。
「誰が作ったか」の証明がますます重要に
AI生成画像やSNSからの無断転載が増える中で、トラブルの本質はこうです。
- 画像が広く出回ってしまった
- 似たような画像がAIでも作れる
- でも、「それ、本当に自分が作ったの?」と問われたときに…
証明できない=守れないのが現実。
ここで出てくるのがEXIF情報の“証明力”なのです。
EXIF情報が著作権・画像保護に役立つ理由

EXIF情報は“あなたの作品の痕跡”になる
EXIF(Exchangeable Image File Format)とは、画像に埋め込まれる「撮影時の付加情報」。
具体的には以下のような情報が含まれています:
- 撮影日時
- カメラやスマホの機種名
- シャッタースピードやF値などの設定
- GPSによる位置情報(オンの場合)
これらの情報は、「自分がその場所・その時間・その機材で撮った」という証明になります。
他人が同じような画像を作っても、「同じカメラで、同じ時間、同じ場所」で撮ったとは証明できません。
EXIF情報は、いわば画像の“デジタル指紋”なのです。
EXIF情報は「著作権登録」ではないが、“主張材料”になる
法的に著作権登録と同等ではないものの、EXIF情報は一次証拠として裁判に提出されることもある、有効な“補足資料”です。
- 撮影時刻を比較して「先に作った」ことを証明
- 加工や転用の痕跡と照らして改ざんの有無を検証
- NFTやブロックチェーン登録の裏付けメタデータとして利用
文化庁の公式見解:創作時点の証明と著作権登録制度
文化庁の「登録の手引き」では、以下のように述べられています。
Q8 私が先に作ったということを証明したいのですが。
A 著作権は特許や実用新案などと違って,先に作った(申請した)者だけに権利が与えられる
ものではありません。
あなたの作品より後に作られた別の作品が,偶然あなたの作品に似ている場合,著作権はそ
ちらにも発生しており,たとえあなたが先に作っていたとしても著作権侵害ではありません。
なお、プログラムの著作物については、創作年月日を登録することができます。引用:文化庁「登録の手引き」
このように、著作権は創作と同時に自動的に発生しますが、後の紛争に備えて創作時点の証拠を残しておくことが重要です。EXIF情報やメタデータの保存は、その一助となります。
AI時代の著作権問題とEXIFの価値

AI画像の著作権は「創作性」次第でグレーゾーン
- MidjourneyやAdobe FireflyなどAI画像生成ツールが普及
- 生成された画像には著作権があるのか?→「誰が作ったのか」「創作性があるか」が判断基準
- 自動生成された画像のみでは“著作物”と見なされないケースも多い
AIでは再現できない「物理的な証拠」がEXIFにはある
AI生成画像には、PhotoshopやMidjourneyなどツール名がEXIFに残ることはありますが、「誰が・いつ・どこで」作ったかは記録されません。
一方で、実写やクリエイター自身が加工した画像に残るEXIF情報は、AIでは偽装できない唯一性を持っています。
さらに強力な保護:IPTC「AI学習拒否メタデータ」

2023年、IPTC(国際報道電気通信評議会)は「Photo Metadata Standard 2023.1」を公開し、画像に「AIによる学習を拒否」する意思表示ができるようになりました。
Data Mining = “AIに使わせない”という主張
画像のXMPメタデータ内に以下のようなタグが追加できます:
<IPTC:DataMiningFlag>Prohibited</IPTC:DataMiningFlag>
この設定を使うことで、スクレイピングされても「使用を禁止している画像である」ことを明確に示せます。
クリエイターが今すぐできるEXIF活用術
EXIFの活用シーン
- 作品投稿:オリジナルの写真をWebに掲載・販売するとき
- ポートフォリオ作成:イラストや画像素材をポートフォリオに載せるとき
- 盗用対策:コンテストや公募に作品を応募するとき
- AI対策:AIによる無断学習・類似画像生成が心配なとき
EXIFを活かす工夫
- 著作物名や作者名をXMP/IPTCメタ情報に加えるのも有効
- 撮影情報を意識的に記録(設定をオフにしない)
- リサイズや加工後もEXIFを保持する設定を使う(保存形式に注意)
- 「学習禁止」タグをXMPに追加する
- 必要ならEXIFを編集・追記するツールを活用(例:Exif Pilot)
▼ 「EXIF情報」の確認・削除方法や無料ツールについて詳しくはこちらをご覧ください

EXIFだけじゃない!あわせて使いたい画像保護手段
EXIF情報はあくまで「補助的な証明」です。
以下のような方法も併せて取り組むと、さらに保護が強化できます。
- デジタル透かし(画像内に著作権情報の埋め込み・目視不可)
- 著作権登録・クリエイター証明サービス(Pixsy、Imasiaなど)
- ブロックチェーン証明(NFTなどタイムスタンプ管理)
EXIF関連のよくある質問(FAQ)
まとめ|EXIFという“見えない証拠”が、あなたの作品を守る
- EXIFは「著作権を守るための痕跡」として、クリエイターの立場を守る武器になる
- AI時代の画像盗用リスクに対し、著作権保護のための“補強証拠”として重要性は高い
- 削除よりも「活かして残す」「意思表示する」戦略が、クリエイターの防御力になる
AIが加速度的に画像の価値を変えていく中で、“自分で作った”ことを証明する手段があるかないかで、画像の価値は大きく変わります。
EXIFは、クリエイターが黙って使える「最前線の防御装備」です。
悔しい思いをしないためにもぜひ実践してみてください。
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